利用者のQOLと、介護職員ができること

介護施設では、介護職員が利用者の介助をして食事や排泄などの日常生活を成り立たせます。体が弱っていて、生活上のすべてにおいて介助が必要な利用者がいる一方で、あまり介助を必要とせずに過ごせる利用者もいます。介護職員は業務を行うときにその辺りを見極める必要があり、すべてを介助しないことが大切です。すべてにおいて介助をした場合、利用者の虚無感が増すことや、生活にハリがなくなることが考えられます。

QOL、つまり生活の質が下がることによって、精神的ストレスが強くなります。また、脳を働かせない生活は認知症など新たなトラブルを生む可能性もあります。食事、入浴、睡眠だけの同じ生活の繰り返しだと、つまらない毎日になるでしょう。そのため、介護施設ごとに工夫をこらしたレクリエーションに取り組んでいます。

レクリエーションがもたらすメリットは、利用者同士でコミュニケーションを取り合えることです。体を動かすことによって体力の維持も期待でき、もはやレクリエーションは脳と体の機能を保つために欠かせないものです。季節のイベントはもちろん、時には外部から演奏隊やお笑い芸人を呼ぶなどして、楽しく過ごしてもらうこともあります。これらが良い刺激となって、結果的にQOLも上がります。

QOL向上を図ることで、高齢者の一時帰宅も検討しやすくなるでしょう。住み慣れた自宅で過ごすことは何よりも安心できますし、他人に気を使うことなく過ごせます。お盆や正月など長期休暇に数日帰る程度であれば利用者本人や家族の負担にもならないので、話し合って決めることになります。利用者の希望を第一に優先することが大切です。